井の頭線の車両 -3000系-
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   概要  ◆

3000系は1962年(昭和37年)に入線した、京王で初めてのオールステンレスカーである。当初第2編成までは18m片開き3扉車であったが、第3編成以降は18.5m両開き3扉車になった。
外観は1900形以来の前面2枚窓の湘南スタイルを継承しているが、ステンレスの単調さをカバーするために正面の強化プラスチック(FRP)製とし、編成別に7色(レインボーカラー)に着色されているのが大きな特徴で、これは1000系にも受け継がれてる。このデザインが評価され、鉄道友の会から1963年度の通勤車日本一として「ローレル賞」を受賞した。
1969年以降入線の車両からは冷房車になり(後に旧編成も改造)、1971年以降に製造された車両からは、制御装置は回生ブレーキ付き界磁チョッパ制御となった(一部旧編成も改造)。さらに1995年には1000系導入に合わせ、大幅なリニューアルを実施。正面のFRPを普通鋼に変更し、運転台前面ガラスを大きくしたほか、車内もホワイトを基調にまとめられ、明るくなった。また、未更新車の中には延命のため簡易リニューアル工事をうけた編成もある。
1987年までに最大145両が東急車輌で製造されたが、1000系導入に伴い2004年11月で未更新車は全て廃車、2011年12月で3000系は全廃となる見込みである。



























     編成詳細    ◆

-  凡例  -

      下表中の記号の説明です。なお、改造を受けた編成は、改造以後の状態を記述しています。
  • 「パンタ」欄  (その編成のパンタグラフの形状と配置を意味しています)
    ◇A…菱形パンタグラフを搭載、パンタ配置型はA
    ◇B…菱形パンタグラフを搭載、パンタ配置型はB
    >…シングルアームパンタグラフを搭載、パンタ配置型はB
    ◆…3029のみシングルアームパンタグラフを搭載、その他の車両は菱形パンタグラフを搭載、パンタ配置型はB

  • 「冷房」欄  (その編成の冷房装置の形状と配置を意味しています)
    1…先頭車は量産分散型(1両あたり4台)を搭載、その他の車両は旧式集中型βを搭載
    2…先頭車は量産分散型(1両あたり4台)を搭載、その他の車両は新式集中型を搭載
    3…3114および3115は旧式集中型βを搭載、その他の車両は試作分散型(1両あたり6台)を搭載
    4…全車両旧式集中型αを搭載
    5…全車両旧式集中型βを搭載
    6…全車両新式集中型を搭載
    • 冷房装置の「旧式」「新式」「試作」「量産」などの違いについては表の下に記述してあります。
  • 「提供」欄  (画像提供をしていただいた方を意味しています)
    ●…AIJD様      ★…KOTO様      ―…提供者待ち      無印…管理者が撮影
  • 「特記」欄  (特記事項を意味しています)
    ※…3101および3102は、両開き扉。残りの車両は、すべて片開き扉。

  • 現在の編成の状態(廃車になった編成は、廃車直前の状態)は、すべて記号表記に従っています。
    写真は過去に撮ったものもあり、一部記号表記と異なる場合があります。


写真はクリックすると大きくなります。なお、走行音を聞くにはRealPlayerが必要です。
編成写真←渋谷  編成図   吉祥寺→状態走行音(収録区間)パンタ冷房提供特記
3701F
写真左
3751-3101-3051-3001-3701廃車―――◇A
3702F
写真右
3752-3102-3052-3002-3702廃車―――◇A
3703F3753-3103-3053-3003-3703廃車―――◇A 
3704F3754-3104-3054-3004-3704廃車―――◇A 
3705F3755-3105-3055-3005-3705廃車―――◇A 
3706F3756-3106-3056-3006-3706廃車―――◇A 
3707F3757-3107-3057-3007-3707廃車―――◇A 
3708F3758-3108-3058-3008-3708廃車―――◇A 
3709F3759-3109-3059-3009-3709廃車―――◇A 
3710F3760-3110-3060-3010-3710廃車―――◇A 
3711F3761-3111-3061-3011-3711廃車
(2003年)
―――◇A  
3712F3762-3112-3062-3012-3712廃車
(2004年)
三鷹台→井の頭公園◇A  
3713F3763-3113-3063-3013-3713廃車
(2004年)
久我山→富士見ヶ丘◇A  
3714F3764-3114-3064-3014-3714廃車
(2004年11月)
浜田山→西永福◇A  
3715F3765-3115-3065-3015-3715廃車
(2004年)
高井戸→浜田山◇A  
3716F3766-3116-3066-3016-3716廃車
(2008年12月)
富士見ヶ丘→高井戸◇B  
3717F3767-3117-3067-3017-3717廃車
(2009年5月)
三鷹台→井の頭公園  
3718F3768-3118-3068-3018-3718廃車
(2009年6月)
明大前→東松原  
3719F3769-3119-3069-3019-3719廃車
(2009年3月)
高井戸→富士見ヶ丘  
3720F3770-3120-3070-3020-3720廃車
(2008年11月)
明大前→永福町
微妙に空転あり
  
3721F3771-3121-3071-3021-3721廃車
(2009年2月)
井の頭公園→三鷹台  
3722F3772-3122-3072-3022-3722廃車
(2009年2月)
三鷹台→井の頭公園  
3723F3773-3123-3073-3023-3723廃車
(2009年7月)
井の頭公園→三鷹台  
3724F3774-3124-3074-3024-3724廃車
(2009年9月)
井の頭公園→三鷹台  
3725F3775-3125-3075-3025-3725廃車
(2009年10月)
井の頭公園→三鷹台  
3726F3776-3126-3076-3026-3726廃車
(2009年11月)
三鷹台→井の頭公園◇B  
3727F3777-3127-3077-3027-3727廃車
(2009年12月)
井の頭公園→三鷹台◇B  
3728F3778-3128-3078-3028-3728リニューアル三鷹台→井の頭公園  
3729F3779-3129-3079-3029-3729廃車
(2011年7月)
西永福→浜田山  



   3000系いろいろ  ◆
  • 車番とレインボーカラーについて
    3000系の各車両の形式は、渋谷方から以下の通りとなっている。

        クハ3750-デハ3100-デハ3050-デハ3000-クハ3700

    MT比は全編成が3M2Tとなっている。各形式に編成番号(ex.3701F[第1編成]なら1)を足すと、その編成ができあがる仕組みになっており、前面の塗装は、3701Fから順にブルーグリーンアイボリーホワイトサーモンピンクライトグリーンバイオレットベージュライトブルーの7色(レインボーカラー)のサイクルになってる。

  • 様々な冷房装置の形状
    3000系は登場時、非冷房であったが、3714Fから初めて冷房装置付きで新製され、後に3701F〜3713Fにも冷房装置が取り付けられた。しかし、その冷房装置の形状は、非常に種類が多く、また交換も頻繁に行われている。廃車になった編成も含めて、3000系に取り付けられたことのある冷房装置の形状は、写真が掲載可能なものだけでも以下の5種類がある。

    「編成詳細」の表では便宜上、次のように区分している。
    (1)量産分散型…4台/両の分散型。冷房改造された編成の先頭車両に搭載されている。
    (2)試作分散型…6台/両の分散型。3714Fと3715Fは、3114および3115を除き、試作冷房車であり、このタイプが搭載された。
    (3)旧式集中型α…廃車となった京王6000系の転用品。
    (4)旧式集中型β…αより少し小型。現在3718Fのみにしか搭載されていない。
    (5)新式集中型…最新型の集中型冷房装置。旧式集中型が老朽化した編成については、このタイプに交換されている。

  • 奇妙なパンタグラフ配置
    3000系には、パンタグラフの配置の仕方が2種類ある(「編成詳細」凡例の配置Aと配置B)。配置Aでは、編成全体を見たとき、各車両のパンタグラフが、同じ方向にそろっていないので、なんとも奇妙な印象を受けるかもしれない。しかし、これにはちゃんとした理由がある。(というよりも、結果的にこうなってしまったと言うのが正しいのかもしれない)
    パンタグラフの配置の仕方は3715Fと3716Fを境に、きれいに分かれていることに気づいてほしい。実は3715Fまでは、登場当初4両編成あり、渋谷寄りから2両目のデハ3100は連結されていなかった。井の頭線で5両編成の運転がはじまったのは、昭和46年であり、3000系の登場から9年も後のことである。そのため3701F〜3715Fのデハ3100は、5両編成運転開始後、各編成に増結される形となった。つまり下図のように、もともとパンタグラフは左右対称の配置だったのに、増結車が加わったため、その対称性が崩れてしまったのである。この奇妙な配置は、4両編成時代の貴重な名残であったが、残念ながらこれらの編成は、1000系に置き換えられ、2004年までにすべて廃車となってしまった。なお3716F以降は、5両編成運転が始まった後に製造されたため、パンタグラフ配置はすべて同じ方向にそろえられ、配置Bのようになったのである。


    前述の冷房装置の形状の分類で、3114および3115が例外の扱いになっていることや、3701Fと3702Fの渋谷寄りから2両目(3101・3102)のみが両開き扉であるのも、すべて同じ理由である。

  • 走行音の微妙な違い
    3000系の制御方式は、回生ブレーキ付き界磁チョッパ制御である(界磁チョッパ制御の概要については、他の資料等に任せる)。登場当初は、抵抗制御であった編成もあるが、後に一部が界磁チョッパ制御に改造され、3716F以降は新製時から界磁チョッパ制御となっている。しかし、制御方式がみな同じであっても、一部床下機器が異なるものもあり、走行音には微妙な違いが出ている。
    「編成詳細」の走行音を聞いてもらうと分かるが、加速音は基本的に界磁チョッパ特有の、低いモーター音が速度に合わせて単調に高い音に変わっていくというものである。ところが、3720F以降の編成に乗っていると、時たま加速時に床に響くほどの爆音が入る(例えばこのように)。これは、3719F以前の編成にはない特徴であり、直接の原因は不明だが、3720F以降は軽量ステンレス構造で、車体構造(コルゲート部など)や床下機器(抵抗器など)が一部従来の編成と異なることから、走行音に違いが出てきても不思議ではない。
    なお、界磁チョッパ制御は、東急8500系や西武2000系など他会社でも多く取り入れられているが、どの走行音を聞いても3000系ほど低い音を出すのものはないので、そのような観点から見ると、3000系は特徴的な音を出す形式とも言えよう。

    3719F(左)と3727F(右)の床下機器の違い

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